「市川森一・上映展示会~夢の軌跡~」は、数々の名作ドラマを生み出した脚本家・市川森一氏の業績を偲び、2012年12月6日-2013年2月3日に横浜の放送ライブラリーで、2013年4月6日-5月26日に長崎歴史文化博物館で開催された企画展です。このたび、市川森一氏が逝去し1年半を迎えるにあたり、市川氏が名誉館長を務め数々の資料を寄贈した、故郷・諫早市立図書館で開催することとなりました。諫早での上映展示会では、諫早を舞台にした人間ドラマ『親戚たち』(1985/フジテレビ) 全13話も特別に上映します。
市川森一氏は1941年長崎県諫早市生まれ。1966年『快獣ブースカ』(日本テレビ/円谷プロダクション)で脚本家デビュー。『ウルトラセブン』(TBS/円谷プロダクション)など初期のウルトラシリーズも多数担当します。1974年『傷だらけの天使』(日本テレビ/東宝)でその名を知られるようになり、1978年には37歳の若さでNHK大河ドラマ『黄金の日日』を執筆。1982年『淋しいのはお前だけじゃない』(TBS)で第一回向田邦子賞を受賞。それ以降も、東芝日曜劇場の数々の単発ドラマ、人気サスペンス「モモ子シリーズ」(TBS)や多くの連続ドラマを手掛けます。大河ドラマは『山河燃ゆ』(1984)、『花の乱』(1994)も執筆。また、故郷・長崎を愛し、長崎を舞台にした作品も多数執筆しています。長年、日本放送作家協会理事長も務め、脚本家の地位向上を図るとともに、保存されることなく散逸・消失していく危機にあった脚本・台本の収集を提言し「日本脚本アーカイブズ」設立運動の先頭に立たれました。
本展では、デビュー作『快獣ブースカ』から、遺作となった『蝶々さん』(2011・NHK)まで市川森一氏の全作品の紹介のほか、台本・直筆原稿、愛用の品などを展示します。また、市川作品の出演者、プロデューサー、演出家、監督、脚本家、音楽家など、市川氏と親交のあった各界の方々約50人から、今回の企画展に寄せられたメッセージを紹介します。
併せて、諫早を舞台にした『親戚たち』全13話のほか、長崎関連作品3本を上映します。
市川作品のタイトルには“夢”という言葉が数多く見られます。『夢の鐘』『夢の鳥』『夢の指環』『夢帰行』・・・。夢と現実を行き交う市川作品の美しい世界・・・。
本展において、“夢見る力”を信じた市川森一氏の“夢の軌跡”をお伝えできれば幸いです。
【展示内容】
1.作品紹介
デビュー作『快獣ブースカ』から遺作『蝶々さん』まで、市川森一氏の全作品を年表、番組写真などで紹介します。
2.台本、直筆原稿
市川氏の名作ドラマの台本の数々、貴重な直筆原稿を展示します。
3.愛用の品、ゆかりの品
愛用の万年筆・原稿用紙、名作ドラマを生み出した創作ノート、直筆の"夢"の色紙、市川氏お気に入りの『快獣ブースカ』の人形などを展示します。
(c)円谷プロ
4.特別展示 メッセージ
市川作品の出演者、プロデューサー、演出家、監督、脚本家、音楽家など、市川氏と親交のあった各界の方々約50人から、今回の企画展に寄せられたメッセージを紹介します。
5.放送ライブラリーと市川森一
市川氏が登壇された、放送ライブラリー公開セミナー名作の舞台裏『淋しいのはお前だけじゃない』(2003年)・『十二年間の嘘』(2006年)、「脚本と私」(2007年)、及び本年2月市川氏追悼で開催した、名作の舞台裏『黄金の日日』などの様子を紹介します。
6.諫早と市川森一
故郷を愛し、長崎や諫早を舞台とした作品を多数執筆した市川氏は、諫早図書館に脚本家としての様々な資料を寄贈されました。市川さんの資料が保管されている部屋は、シナリオルームとして公開されています。展示では、今回上映する『親戚たち』の台本も紹介します。『親戚たち』の台本には、諫早の街の地図も描かれています。
※諫早図書館内では、市川氏の著作本(シナリオ集、小説など)が閲覧できます。
【番組上映会】
横浜の放送ライブラリーでは、多数の市川森一脚本作品を公開しています。今回の上映会では、放送ライブラリー公開番組より、諫早を舞台にした『親戚たち』全13話のほか、長崎関連作品3本を上映します。
<上映作品> (1、2、3は市川森一脚本作品、4はドキュメンタリー)
1.親戚たち フジテレビ・1985年・全13回・各47分
市川森一が故郷・諫早を舞台に書いた作品。長崎県諫早市を舞台に繰り広げられる人間ドラマ。諫早出身の役所広司が時代劇以外で主演した最初の記念碑的作品。(出演:役所広司・根津甚八ほか)
2.明日 1945年8月8日・長崎 日本テレビ・1988年・94分
原爆が投下される前日の、ごく普通の人々のありふれた一日を描き、それが原爆によって無残に断ち切られたことへの憤りと悲しみを訴えた。(原作:井上光晴、出演:大竹しのぶ・樹木希林・富田靖子ほか)
3.ドラマ おいね 父の名はシーボルト NHK・2000年・69分
オランダ商館の医師であったシーボルトと、日本人の母お滝との間に生まれた娘・おいねの生涯を描いた。(出演:宮沢りえ・樋口可南子ほか)
4.弾けて翔んだ200人 市民ミュージカル700日の記録 テレビ長崎・2003年・46分
市川森一脚本の舞台(舞台美術:朝倉摂、主役:安寿ミラ、テーマ音楽:さだまさし)上演までの道のりを追ったドキュメンタリー。
<上映プログラム>
A.
10:30 明日 1945年8月8日・長崎
13:00 親戚たち(第1話)
14:00 親戚たち(第2話)
15:00 親戚たち(第3話)
B.
10:30 ドラマ おいね 父の名はシーボルト
13:00 親戚たち(第4話)
14:00 親戚たち(第5話)
15:00 親戚たち(第6話)
C.
11:00 弾けて翔んだ200人 市民ミュージカル700日の記録
13:00 親戚たち(第7話)
14:00 親戚たち(第8話)
15:00 親戚たち(第9話)
D.
11:00 親戚たち(第10話)
13:00 親戚たち(第11話)
14:00 親戚たち(第12話)
15:00 親戚たち(第13話)
夜プログラム 18:00から「親戚たち」を1話ずつ上映
※ 都合により、上映作品を変更することがあります。
上映スケジュールは こちら
※放送ライブラリーでは、この上映会での作品以外にも、市川森一さんの脚本作品や関連番組を多数公開しています。
市川さん関連の公開番組の全リストは こちら